明日(2014年12月14日)はいよいよ衆議院選挙です。
ところで昨日の最高裁判決で故人の未分割の投資信託の満期償還金の引出について興味深い判決がありましたのでご紹介いたします。
最高裁の判決文の原文は以下のURLでご確認ください。
短い文章なので、興味のある方は是非原文でご確認ください。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/688/084688_hanrei.pdf
今回の事件は、故人の相続人3名のうち1名が故人が証券会社に預けていた投資信託の満期償還金を未分割の状態のままで法定分割割合である1/3だけ分割して引出すことを証券会社に請求するという内容です。
この点につきまして、最高裁判所は相続人の訴えを棄却しました。
そもそも、「共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」との過去の最高裁判例があるようです。
(最高裁平成23年(受)第2250号同26年
2月25日第三小法廷判決・民集68巻2号173頁参照)
この考え方を本件について当てはめてみると
共同相続された投信受益権について故人の相続開始後に元本償還金及び収益分配金が発生して預り金として本件、投信受益権の販売会社であるB証券の故人名義の口座に
入金されましたが、共同相続人の1人である上告人は,B証券会社にに対し、自己の相続分に相当する投資信託の解約金の支払を請求することができない、という判決となりました。
相続税が多額になる場合は、相続税の納税資金の準備が必要となります。
遺産の金融財産を円滑に遺産分割できれば問題ありませんが遺産に占める不動産の比率が高い場合や遺産分割が全く成立しない場合には、相続人の全員あるいは一部の方が納税資金の準備で困ることになります。
納税資金の確保のために、納税資金相当額の金融財産だけを先に遺産分割するという方法もあります。
平成27年から相続税の課税が強化されますので納税資金の準備も視野に入れた遺産分割を早期に成立しなければならない事例が増えそうです。